修理工程など

■言い古された言葉ですが、「古き良き時代」の「ヤマハのスピーカー」を蘇らせたいと思いこのホームページを作りました。この時代のオーディオアンプやヤマハ以外のスピーカーも手がけて行きたいと思って居ります。趣味のピュアオーディオから派生したホームシアターも合せて紹介致します。

★YAMAHAスピーカーを末長く使って行く為に!
*エンクロージャー(スピーカーボックス)の中は以外湿度が高く成っています。ウーハー、スコーカーのマグネットを触ると湿って居る事が有ります。
*ボックスの中を乾燥させて下さい~ウーハーを外して内部を陰干しして下さい。
*ボックス内部に押入れ乾燥剤を入れて一定期間後取り外すのも良いです~必ず乾燥剤は取り出して下さい。(入れっぱなしは逆にサビの原因になります)
*リスニングルームは低湿度にし急激な温度変化を起さないようにする。*開放型のストーブの使用は絶対に使用しない方が良いです。部屋の酸素を燃やすと部屋に水分が放出されて湿度が上昇します。*急激に温度を上げ下げするとユニットが結露~錆~固着の原因と成ります。*特に1000Mは密閉型なので結露した水分が外に出にくいので乾燥が必要です。


*金属ネットの中の埃の取り方~エアガンで吹くのが良いのですが一般家庭には無いので市販のエアーブロースプレーで吹き出しましょう。ベリリュームに埃ががつくと、そこから錆びやすく成ります。

ヤマハスピーカーの最大の弱点はウーハーの固着!埃も!


●固着はウーハーだけでは御座いません!!
この画像はヤマハNS-1000Mのスコーカーです。ウーハー同様に粉吹きが見られます。この様に成ると接着剤が効いて居ないので、磁気スリットが偏ってしまい歪、音圧低下を招きます。酷い時は運送中にマグネットが外れて箱の中に落ち込んでしまって居た事も御座います。


●スコーカーの分解画像です。
スコーカーのマグネットはウーハーより強力でセンタリング調整は大変です。近年、スコーカーも分解しなければ成らない物が増加して居ります。


重厚長大の産物のヤマハのウーハーはこれが民生用かと思うほど重くて大きい存在感が有るのですが、それが仇と成り(接着剤の選定にも問題あり)ウーハーが鳴らなくNS-1000M、NS-690が大変多いのです。遅かれ早かれ全てのこの機種がダメに成ってしまうのではないかと思う程です。鳴らなく成ってしまう原因はセンターヨークとマグネットを付けている接着剤が効かなく成る為にセンターヨークがボイスコイルに接触してしまいコーンが動かなく成ってしまうのです。なぜ接着剤が効かなく成るかと言いますとそれはセンターヨーク、スピーカーベースの錆が主な原因です。錆の発生は大きなマグネット、センターヨークの鉄の塊が温度変化で結露(冷たいビールをコップに注いだ時に コップの表面に水滴が付く現象)してこの水分が長い年月で錆は出てしまいます。
錆は強力に膨らんでマグネットを剥がしてしまいます!接着剤が効かなくなった状態で大入力、外的ショックでヨークがずれて固着に至ります。ヤマハさんでは修理ではなく新品交換となるそうです。廃棄処分にするなんてもったいない! 新品価格は 25,760円(税、送料別)だそうです。


■固着予備軍、固着ウーハーの修理

1、分解
固着を修理するにはセンターヨーク、マグネットを分解しなければ成りませんがセンターヨークを強力なマグネットから外すのは思いの他大変です。素手では到底外れません~それほど強力に吸着してます。隙間に手を挟んでしまうと万力で締め付けられる様な感じです。
分解順序を間違えると、ボイスコイルを痛めたりマグネットを割って欠いて仕舞いかねません。


2、クリーニング
やっとバラバラに成ったら今度は接着剤や錆を取るのが大変です。マグネットには接着剤は付いて居ないのですがヨークやベースパネルには接着剤が残っているのでこれを削り取るのに体力が必要です。錆も丁寧に取り去ります。コーンの埃もブラシにて綺麗にします。


3、錆止め
ヨークやベースの鉄の部分は凄い錆が有りますのでこの錆を取っただけでは又何年か後には錆が出て仕舞います。錆止め剤の中でも強力な「特殊エポキシ樹脂と亜鉛粉末のジンク塗料」で丁寧に筆塗りします。

4、組み立て
ベースプレートにマグネット接着後、センターヨークを接着するのですがこれが一番の肝、山場です。接着剤は現在はショックや振動に強い高価な弾性エポキシを使って居ます。センターヨークをボイスコイルの中心に来る様にするセンタリング調整が難しい所です~専用の治具を使わないと出来ません~世の中にセンタリング治具は無いので当然手作りです。エポキシ接着剤なので硬化時間があるので時間の制約の中での作業と成ります。センタリング調整はその他数々のノウハウが御座います。


■接着剤を剥離後サビ取り~脱脂~サビ止め塗料(ジンク塗料)を刷毛塗りします。ジンク塗料はサビ止め剤の中では高価で強力にサビの発生を抑制します。また、メッキと同程度の付着性があるので固着修理には最適です。


■マグネットを接着するのに使用しているのは、セメダインの弾性エポキシ接着剤です。(この接着剤は高価ですが最適です)ショックや振動に強い接着剤です。2液性接着剤なのでセンタリング調整に時間制限が出て来ます。最近一度どこかで修理したウーハーの修理依頼があったのですが、なんと木工用の接着剤を使用してあったのは驚きました。そんな人は修理する資格は有りません。


■センタリング調整工程です。これが完全オリジナルの調整治具です。簡単な治具ですが思考錯誤で現在に至っています。■ノウハウの蓄積があり調整時間は3分以下で出来る様に成りました。■オークションで固着修理したウーハーを見かけますが、素人の修理した物は、ボイスコイルのクリアランス調整不良、防錆処理不完全が多いです。注意して下さい。
■ヤマハNS-1000M NS-600系30センチウーハーの固着分解修理代金 1本8千円です。
■数多くの分解を行った結果、蓄積したノウハウが有りますので低価格が実現出来ました。手抜き作業は有りません!
■ヤマハスピーカーオーナー様への奉仕の考えもあり低価格で固着修理を行って居ります。


■オプション作業 長期間使われたウーハーは日焼けによる退色、シミ、汚れが目立ってきますがコーンの着色でかなり綺麗に成ります。着色には特性、音質に配慮した物を使います。左が着色前、右が着色後です。
着色価格 1本¥1,500円


5、組み立て
センターキャップ、金属ネットを取り付けて組み立て終了です。 この工程にもノウハウがたくさん御座います。


6、動作チェック
1Hz~500Hzの正弦波を入れてビリツキ、異常音が無いかチェックします。100Hz以下の信号を入れると家中が共振して凄い事に成りチェック出来ないので自分で抱いて人間アブソーバーと成ってチェックします。その他、音楽を入力してのヒアリングも欠かせません。

ここまで行って、固着修理は1本 ¥8,000円です。


 

スコーカーの分解調整


■スコーカーの歪み修理
長年使って居ると、スコーカー内部に錆が出たり、エッジの偏りが発生して歪みっぽい音に成ります。錆取り、防錆処理、クリーニング、センタリング調整します。ベリリューム振動板他見える部分のクリーニング、ネットの凹み修正も同時に行います。■ベリリューム振動板の割れ、穴あきも時折見られます。


 


■ツィーター、スコーカーの断線修理
錆によりボイスコイルが断線して音が出なくなってしまうユニットが有ります。かなりシビアな作業に成りますが錆た箇所を綺麗にして拡大鏡を見ながら半田で繋ぎます。そのままでは振動で切れてしまうので接着剤でコートします。
■上の写真はスコーカーのボイスコイルがサビて一部無くなってしまって居ます。これでは音は出ませんね。


●過大入力で、ボイスコイルが焼損した場合は、コイル巻き替えを行わなければ成りません。髪の毛よりも細いエナメル線を綺麗に巻く時にはこのような方法で巻いて居ます。


 


●ダイヤトーン DS-3000のスコーカー歪の調整の様子です。
正弦波を入れながらセンタリング調整を行います。チョットした気の緩みでボロンドームを割る可能性が有るので神経を使います。


 


ダイヤトーン DS-V5000のネットワーク部分です。
高音のレベル低下、位相不良と言う事での修理依頼品です。古いネットワークですので、すべてのC容量とLインダンクタンスの測定し問題解析を行いました。ネットワークだけの修理と成ったので状況把握と修理後の確認が難しかったです。


 


■写真はNS-2000のウーハーです。 このエッジは永年変化に弱くてこんなエッジに成ってしまします。エッジ交換も承って居ります。


●エッジ張り替えが出来ました。クロスカーボンのコーンもクリーニングして綺麗に成りました。


●ウーハーの取り付けには半田付けが必要ですがドライバー1本で接続出来る端子もオプションでお付け出来ます。¥1,500円


 

■修理実績について
このホームページを作るまでに月10個ペースで固着修理を行って来て居ります。年間100個以上の修理実績が御座います。ヤフーオークションにも出品して数多くの落札~評価を頂いて居ります。

私のヤフオク評価ページです。固着修理出品は出品中よりお入り下さい。
ヤフオクでNS-1000Mのレストア出品で有名なオーディオショップ、音楽スタジオ、運送会社にも多数の納入~修理実績が御座いますので安心して御用命下さい。